実践1

もちろん,仮に国家全体が壊滅すれば,個人もその家族も死ぬだろうしかし,社会単位としての国家が消滅したとしても,それ自体は個人や家族の生存を脅かすことにはならないだろう。そのような国家の消滅に伴い民族間の紛争や深刻な経済崩壊が起きた場合に初めて,その消失が生命を脅かすものになるだろうが、そうした悲惨なでき事は,政治的な独立が失われた結果として必ず起こるというものではない。逆に言えば,隷属国が政治的独立を獲得することと,その国民の生存可能性が増大することとの間に,論理的な関係はない

実践2

現代において文章を読んだり書いたりする人は,jet, atom, welfare,cold,hotなどの単語に,およそ20年前にはそうした単語にはなかった意味をついついつけ加えてしまう。私たちは過去に書かれたものを読むとき,その中に出てくる単語の中の少なくとも一部を,その文章を書いた人がその単語について考えてい
たのとは必ずしも同じではない方法で考えてしまう。時の経過とともに,そうした単語は新しい「意
味の含み」,つまり新たな意味のニュアンスを帯びているのである.

実践3

どのような人間集団にも、ある一定の知識領域やある一定の評価方法といった、独自の世界がある。そのような世界観は、時間の経過とともに絶えず修正されやすい。また、そうした世界観は特定の集団と結びついているからといって、ほかの集団に属する人々によって、程度の差はあれ、取り入れられないということにはならない。それどころか情報、思考、習慣、感じ方や判断の仕方は、ある社会文化集団から別の社会文化集団へと伝達されうるし、個々の人々はいずれにせよ、複数の集団に忠誠心を持つことができる。したがって、彼ら自身は異なる世界観の間を適宜動き回ることができるのである。